大学の「国際化」/世界で輝く人材育成

2012-06-20

みなさんこんにちは。

2012年6月20日(水)、昨夜は台風の接近で雨風も強く、通常よりも早い時間で教室を閉め、講師一同無事に帰宅できましたが、みなさんは大丈夫でしたか?

さて、そんな台風一過の本日は、すっきり快晴というわけではありませんが、かなり気温が上がり、夏日となっています。

そんな本日は、こんな話題で記事を書いてみたいと思います。

本日、読売新聞朝刊24~25面(特別面)に第29回読売・大学進学懇談会の模様が掲載されています。

大きく「世界で輝く人材育成」「大学の「国際化」」という見出しが躍っています。

この懇談会の主旨は、「社会が求める大学の国際化」ということで、高校で進学指導を担当する教員を前に、文科省(国立教育政策研究所)や慶応大学、立教大学、さらに味の素の方々がパネリストとして議論を交わしたようです。

この記事をざっと読む限り、昨今よく話題になる通り、これからの国際的な社会でも求められるものは、「異文化理解・共生」「日本人としてのアイデンティティ」「語学力」「コミュニケーション力」だとされ、特に、「英語力」の育成、そのための英語教育の充実というのが、目立ったトピックとなっているようです。

国際化といわれて久しい現在、海外留学を促進し、グローバルな人材育成は国としても企業としても、大学としても必要な事態だとの認識は共通してあるようです。
が、その一方で、経済状況等の問題もあり、日本人の海外留学が減っているということもあるようです。

昨日(2012年6月19日(火))の読売新聞朝刊1面に、海外留学を促進するための施策として、「国際バカロレア」の日本語での取得の道が開けたとの記事がありました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120618-OYT1T01553.htm

「国際バカロレア」とは、ハーバード大学などの大学が採用する入学資格で、国際的な共通教育プログラムを修了したのちの共通試験の成績によって、各大学の入学審査を受けられるというもの。
日本でいうところのセンター試験のような位置づけでしょうか。(ちょっと違いますが)

この国際バカロレアの教育プログラムは、従来公式言語の英語、フランス語、スペイン語で実施され、その他にドイツ語、中国語などでも一部の科目が実施されていたとのことです。

もちろん、海外留学ですから、英語などの語学力は必須ですが、教育プログラムの一部が日本語で実施されるのであれば、間口が広がり、日本からの海外留学が促進されるのではと期待されているようです。

以前にも、「英語力」に関する記事を読み、本HPでもコメントを書いていますが、単に、英語の授業の質の向上や留学支援策が充実したとしても、もっと根本的な部分が同時に育っていかなければ、英語が使えるけど、話すべきことがないという中身のない人間が育つだけです。
そうした人材が、国際社会で活躍できる、つまり、異文化の人々と効果的なコミュニケーションが図れるのか、といえばやはり疑問が残ります。
ここで言う「根本的な部分」というのは、誤解を恐れずコトバにするのならば、「生きる姿勢・生き方」とか「学ぶ姿勢・学ぶ意味」ということです。

その意味で、本日の記事を読んでいて一番目にとまったのが、25面の「役立つ教育とは」というパート。

「大学側から企業への注文はどのようなものがありますか」という問いに対する、慶応義塾大学の常任理事である阿川尚之さんのコメントです。

とても印象的で、大切なテーマだと思うので、引用させて頂きます。

-多くの企業から大学は世の中に役に立つ人間を輩出しなさいと言われますが、役に立つ教育に特化すると、実は役に立たなくなるかもしれないというジレンマがあるのです。
(中略)
カリフォルニア工科大学の学長が「基本的に役に立たないことを教えるている。役に立たないことが役に立つ」と話していた。まるで禅問答みたいですが、これには新鮮な衝撃を受けました。
(中略)
良いロースクールであればあるほど、すぐに役立つような知識は教えないのです。
何を言いたいかというと、特に学部教育では「役に立つ」を忘れて教えなければいけないと思っています。知識の伝達だけではなく、学生自ら考えさせる教育が大事ではないでしょうか。
(中略)
私は日本の大学は学生に親切過ぎると思っています。機会は与えるが、ある程度はほったらかして、自分で考えねばならない、自分で生きていかねばならない体験をさせるべきです。

教育ということを考えた時に、大変重要な指摘だと思います。

教育にとって、ある知識(情報)を伝達するというのは不可欠な要素です。しかし、伝達するだけで良いのでしょうか。時に安易に答えを与えず、何らかの実利に直結させず、自ら考えさせ、あるいは逆に考えさせられる中で、共に何かを創造していく営みも教育にとってはなくてはならない要素です。

阿川さんは端的に語られています。
学生の皆さんは、近い将来「自分で考えねばならない、自分でいきていかねばならない」のですから。

ですから、とても大切なことではあるのですが、留学が就職に不利とか、英語をやっていれば就職に有利とか、この大学は就職率が高いとか、そうした短期的、即効的な実利にのみ焦点を定めた進路設計つまり人生設計は考え直しても良いのかもしれませんね。

またまた阿川さんが端的に語られています。
「「役に立つ」を忘れて教えなければならない」と。

さて、この話題について、みなさんはどのように考えますか?


                 
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