「塾 アジア進出加速」…そのミライは大丈夫なの⁉

2014-01-28


さて、25日(土)のこと、ドタバタしていて記事を書くのをすっかり忘れていましたが、同日読売新聞の夕刊の一面にこんな記事がありました。

「塾 アジア進出加速」

という見出しの記事です。
塾人としては見過ごせない話題ですね。

記事では、見出しの通り、日本の学習塾や教材会社のアジア進出が加速しているというもの。

東アジアでは、受験競争などが過熱しており、日本の細やかな指導や教材が好評なようです。

たしかに、一時期中国や韓国の受験競争の激化がニュースにもなっていましたね。
受験生を送迎するのにパトカーが出ている画を何かで見た記憶があります。

日本は「少子化」ですから、教育産業市場も小さくなってきています。

その点、アジアなど新興の国々では、今まさにかつての日本のような教育産業の活躍の場があるから、企業は海外進出をしていく。
日本にとっては良いことなんでしょう。

いやしかし、教育産業も海外進出とは、ね。

もちろんある意味「ニッポンスタイル」がまた海外でも認められたということで、日本の技術の優れていることの証ともいえます。

さらにいえばビジネスの話ですから、それは「受容」と「供給」の問題。

ニーズがあるところに最大限のサービス提供を。

まさに誰もが望む『win-win』の関係ってやつですね。

ただ、ちょっと待ってほしい。

一応、教育についての研究をしている人間のひとりとしては、日本の塾のサービスの質の高さがアジアで好評価を受けていることを、諸手を挙げて喜べない部分がある。

端的に言って、いま日本の教育界ではこれまでの「受験競争型教育」の弊害が大きな課題となっています。

「受験競争型教育」はかつて日本が近代化を推進する際の強力な武器となったのです。

さらに、戦後の日本の復興を推進し、高度経済成長を果たすに至る強力な武器となったのです。

最初はまさに富国強兵・殖産興業政策を支える近代的な軍隊の創設、工場労働者の開発にとって重要な意味を持った。

後者でも、産業社会を支え、サラリーマン的人材(いわゆる「企業戦士」ってやつですね)を多数排出するための装置として強力に機能してきたんですね。

まぁ細かいところは省きますが、諸々の状況の変化で、そうしたスタイルは今、もはや古いものとなってしまった状況があるわけです。

さらに良くないことに、こうした「受験競争型教育」というのは、ある程度高い水準の能力を持った平準的な人材を多数育成することにとっては、実に効果的かつ効率的なスタイルなのですが、肝心の学習に対する意欲など魅力的な人間の成長という観点でいくと、かなり疑問なモデルなんですね。

簡単に、しかし、わかりやすくいうと、多くの人がある程度高い水準の能力を持っていながら、その一方で、学校以外での学習時間は非常に少なく、何より学習に対する意欲が低い。

どうです?なんともアンバランスじゃないですか!?

これは何も日本に限ったことではなく、近年教育界でも注目されているPISA(OECDが実施している国際的な学力調査)などのテストで好成績をおさめているアジア各国の結果に顕著に表れています。

このあたりのことは多くの人がさまざまなところで言っていますが、最近読んだ本を一つ紹介していおきます。

つい最近まで東大の教授(現学習院大学教授)で、「学びの共同体」論を提供している佐藤学さんの文がわかりやすくまとめられています。

ちょっと研究書的な様相なので、難しく感じる方もいるかもしれませんが。

佐藤学さん、特に「学びの共同体」については、このあたりがお手軽ですかな。

もちろん「受験競争型教育」というのは、そうした仕組みをもった社会の中で、自分の「立身出世」のために進められるものなので、それを推進する個人を必ずしも否定することはできません。

とはいえ、単に少しでも偏差値が良い学校へ、そして、少しでも良い条件の就職先の確保へ、ただそれだけのために学ぶというのは、なんともモッタイナイ限りです。

それが一時期流行ったように思う「拝金主義」のようなある種のニヒリズムに陥った結果であるのなら、より個人のためにも社会のためにも良い結果は得られないように思う。

そうしたスタイルが東アジアにより広く、深く根付いて行ってしまったら…

ちょっと怖くもあるのですが、考えすぎですかね?

みなさんは、どう思いますか?

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