『電気君日記』

2013-10-31

『電気君日記』 作:ES(小学校5年)

一、はじまり

 ぼくの名前は無い。かといって、孤独でも無い。周りには、いつも仲間がいてくれて、ぼくに笑顔をくれる。
 それじゃあなぜ名前が無いのか?
 そう思う人も少なくないだろう。答えはかんたん。ぼくの名前が無い理由は、ぼくが電気だからである。
 ぼくが住んでいる山田家は、お父さん、お母さん、長女、次女、そしてオウムの四人と一ぴき家族。とてもにぎやかで見ているだけで笑顔になれる。あと、ときどき、ぼくに外の様子を教えてくれるガ君がいる。ガ君は、ぼくのことを「電気君」とよんでいる。だから、この文を読んでいるあなたも、ぼくのことを「電気君」と親しくよんでほしい。
 これから、ぼくは山田家の様子や出来事を、ぼく目線でみんなに伝えていきたい。
 なに、ただのぼくの日記みたいなものだから、かたの力をぬいて読んでほしい。それでは、はじまり、はじまり~。
電気君日記|横浜の個別指導・グループ指導学習塾・作文教室 学習塾ラーニング・ラボ横浜天王町教室

二、父の話

「ただいま~」と、げんかんからお父さんの声が聞こえる。「おかえり~」と娘達と母がげんかんに行く。ほんの数十秒、リビングには、テレビの音だけが響いた。「あぁ、帰ってきた」と、僕はほほえんだ。
 父は、電車マニアのサラリーマン。家のあちこちに電車のもけいが置いてある。母はひそかにそのじゃまなもけいをすてようとたくらんでいる。
そして、とにかく大食いなくせにやせているし、お酒も飲む。父がよく酒の話をするので、ぼくは少しは酒のことを知っている。例えば、シュワシュワした黄色の飲み物は「ビール」というお酒だとか、そんな感じだ。
「あ~今日はつかれたなぁ」
と、ステテコにシャツすがたの父が言うと、
「父さん、毎日その言葉言ってない?」
と、娘達がツッコム。
 たとえ、その光景を上から見ていても、家族がとてもリラックスしていることがわかる。ぼくはその光景を見て、一人笑っているのだ。
 そんなある日、家に父も長女もいなかったとき、ついに母が電車もけいを一台すててしまった。そのしゅんかんを見ていたぼくは、思わずふき出してしまった。あぁ早く夜になってほしい。そう思いながら、ぼくは、何事も無かったようにしている母を見ていた。
「あれ?」
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そう父が言ったのでぼくは「バレタ!」と思い、自分には関係ないと知っているのにもかかわらず、かたに力が入った。見ると、母も少しきんちょうしているのか、無表情だ。
「母さん、そういえば昨日買ったスイカどこ?」
 そう父が言うのを聞いて、ぼくは力がぬけた。もし、ぼくが人間だったら、きっと「フ~」と言うだろう。
 母は「れいぞう庫のおく」と言っている。ここからじゃ見えないけれど、きっと母はほほえんでいるはずだ。父がおいしそうにスイカを食べているのを見て、ぼくもついついほほえんでしまった。そして、ついに父はもけいの事に気付かなかった。
 次の日も、その次の日も、母はもけいをすてた。そしてついに、そのときが来た。
「母さん。そういえばもけい、どこにやった?」
そう父が言ったとき、ぼくは思わず力の入れすぎで停電しそうになった。すると母は、
「もけい?知らないわよ」
と、とぼけた顔で言った。ぼくもそうだ、そうだとうなづいた。きっとわからないと思うけど。
「きっと、ぬすまれたのよ」
母がそう言った。ぼくは、「なんでそんな見えすいたウソを言うんだよ!」と心の中でさけぶ。すると、父がバン!とつくえをたたいた。頭も赤くなっている。ヤバイ、ものすごくヤバイ。そして、父はこう言った。
「確かにそうだ!あれはみんな『じゃま、じゃま』言うけど、本当はとてもスゴイ物なんだぞ!あぁ、見せたいなぁ。あの電車に細かくかかれてあるもよう!ぬすまれてもおかしくないなぁ」
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「・・・・・・」
ウソだ。これは夢だ。ぼくはそう思った。
 ふつう考えられるだろうか。あんな作り話を信じる人なんて。見ると、母まで何も言わない。というか言えないのだ。父はこうふんして体が赤くなっている。
 それから約三〇分間、父は電車についてながながと語った。
 あぁ、ちょっとつかれる。

三、母の話

 さて、次は母の話をしよう。母はとにかく元気でとてもタフな人だ。スルドイつっこみを武器に、父とからんでいる。はっきり言うと、母のつっこみは新人芸人よりおもしろいと電気君は思っている。
 そんなある日、父がマラソン大会に出ると言い始めた。そして、こんなことを言うのだ。
「父さんはなぁ、毎日仕事でバスにおくれないように走っているんだ」
(父はいつもギリギリで家を出るので少しでもおくれたらちこくしてしまう)
「だから、それなりの体力はあるはずだ。それを証明したい。でも、くらべる人がいないと、あまり父のすごさが伝わってこない・・・。そこで母さん!母さんはいつも家事でいそがしそうだ。しかし父さんは母さんの一〇〇倍体力がある(はずだ)。母さん、少し、二人どっちが足が速いか競ってみよう」
 というのもだ。最近娘たちが(特に長女)、スポーツに興味をもちはじめ、中でも一番大変そうなマラソンが好きなようだ。家でもよく「マラソン選手ってスゴイね」と言っている。きっと父もそう言われたいのだろう。そして母も、
「言ったわね。見なさい!毎日自転車で幼稚園に娘を送っているこの私の足を!それなりの体力はついているはず!フン、父さん。そんな自信も、私と走ればすぐに無くなるわね」と乗り気だ。
 そして、二人のマラソン生活が始まった
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 日曜日、マラソンの練習をするため、二人がまるで火花が散るかのように、にらみ合いながら家を出ていった。
 娘たちは一緒に行くが、公園で遊ばせるので、父と母のマラソンの練習を知らない。電気君は、父にも母にもプライドがあるんだなぁと思った。
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 そして、一時間後。まるで一週間絶食したかのようにフラフラの父と、まるで、とれたてでみずみずしいキャベツのようにシャキッとした母と、まだまだ遊び足りない娘達が帰ってきた。どうやら、母の方が体力的には上らしい。
電気君は、自ら戦いを申し出たのに、初日からこんなに差が出てしまった父が少しかわいそうな気がしてきた。
父もくやしかったのか、みんなが寝てしまった夜に、ダンベルを持ってストレッチをしていた。
 そして、本番。サンブラスにぼうしと日焼け防止コーデで決めた母と、同じくサンブラスにスポーツブランドの服でバッチリと決めた父がやる気満々で娘たちを連れて会場へと向かった。父はダンベルの成果があってか、少し筋肉がついてきたように見える。娘もなんだかうれしそうだ。
 いってらっしゃい。電気君はそう思って四人を見送った。
 数時間後、四人はペチャクチャおしゃべりしながら帰ってきた。
 会話を聞こうとしてもよく聞こえないし、父と母の表情を見てもどっちが勝ったのかがわからない。どうなったんだろう。気になった電気君は、みんなの会話を聞こうと必死で耳をすましたが結局何も聞こえなかった。
 そして夜、みんながねてしまったころ。電気君は一匹の虫を待っていた。その虫の名前はガ君だ。外の様子を知っているガ君なら、どっちが速かったかしっているはずだ。そう思いながら、電気君はじっとガ君が来るのをまっていた。
 ブーン。そんな雑音が聞こえた。待ちくたびれてすっかりねむってしまった電気君はその音をきくやいなや、目をガバッとあけた。ついにガ君が来てくれたのだ。
「ガ君~。ついに来てくれた~。もうずっと待ってたんだよー」
と電気君が言うと、
「さっきまでねてたじゃないか。起きるのに、一〇分以上かかったぞ」
とガ君が言った。それを聞こえないフリをした電気君は、そく本題にはいった。
「ガ君。町のマラソン大会見た?」
「まぁ、見たさ。ものすごかったぞ。なかでも、二人の男女がすごくってよ。もう接戦だったぞ」
電気君は思った。間違いない。その二人が父と母だと。
「で、その二人のどっちが勝ったの?」
「あぁ、女の人が勝ったよ。すごかったぜ。最初から最後までペースをくずさずに走ったんだから。体力あるな~。まぁ、そいつもおしくも五位だったけど・・・」
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 母強し!電気君は思った。やっぱり、父も母には勝てないのか。そう思いながら、電気君はガ君と別れた。
 今日も、母は娘を自転車に乗せて、幼稚園まで送っている。

四、長女の話

「あのね、今日幼稚園でね。先生とかけっこしたの」
 そう母に話しているのは、ただ今三才。幼稚園の年少さんの長女だ。
「そしてね、先生がね、足がおそくてね、わたしが勝ったの」
 いっしょうけんめいしゃべっている長女だが、母は今、とてもいそがしそうで返事もテキトーだ。
「ハイハイ。よかったねー」
そんな風に返事をする母に長女は、
「エーン。ママがつめたいよー。エーンエーン」
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と泣き出してしまった。ちなみに、長女は泣き虫で、すぐに泣いてしまう。こうなるともうどうしようもない。
「ハイハイ。ゴメンね。少しつめたかったねー」
そういってあやまる母。長女も泣きやんできた。
「グスグス。うっ、うっ、グスグス」
長女は、すぐ泣くが、泣きやむのは早い。早いときには五分で泣きやむ。
 そして、一〇分後。すっかり泣きやんだ長女はおままごとを始めた。電気君は長女のおままごとを聞くのが好きだ。
「お母さ~ん。おままごとやろー」
と長女が言うと、
「えーいいけど、今いそがしいからあとでねー」
と母。それを聞いて、長女が残念そうな顔して、わめきたてる。
少しぐらい待ってあげてもいいじゃないかと思う人はたくさんいるはずだ。でも、その「少し待つ」をやるのにはかなりの根気がいるということを、長女は知っている。
実は、母の「少し」は一時間ぐらいなのだ。五分や一〇分なら待てるが一時間も待てない。ということで、長女は少しばかりわめいたが、すぐにあきらめてお絵かきを始めた。
そんなある日、長女が次女の世話をし始めた。
「よしよし。良い子だからもうねましょー」
と長女がいうと、
「あぎゃぎゃぎゃぎゃ」
と次女。どうやら、まだねむくないらしい。
すると、長女は、
「ダメじゃないの!ほら、見てごらん。みんなねているよ!」
と言って、ソファーにならべられている人形たちを指さした。なるほど、長女は次女とおままごとをしているのだ。
「ほら!ねなさい!ねたフリで良いから」
という長女に対して、
「あぎゃーぎゃぎゃ!」
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次女は全くねる気はなさそうだ。そして、ソファーの人形をいじり始めた。
「あー!ダメダメ!その子たちは今ねているんだから!」
「ぎゃーあぎゃぎゃぎゃ!」
というわけで、長女と次女がケンカし始めた。
「ねなさい!ほら!」
と言って次女に毛布をかぶせる長女。
「ぎゃーーー!」
次女も負けずにうさぎの人形を投げる。
「あー!わたしのうさちゃんなげたー!ね~お母さーん!」
「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ~!」
 ちなみに、母は今、となりの部屋でくつろいでいる。少しねむくなってきたのか、ゴロゴロし始めた。そんなときに聞こえる雑音…。次女と長女のわめき声だ。
「ねーお母さん!うさちゃんがなげられて痛い痛い言ってるー!ヒドイよねー!」
「ぎゃ~ぎぎゃ~ぎゃ」
「それに全然話を聞かないの。勝手に行動しちゃってさー」
「びゃー!ぎゃー!」
「あ~うるさい~!静かにして~!」
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いに母がキレ始めた。まぁ、リラックスタイムをじゃまされたんだからしようがない。
 そして、大さわぎが三二分間続いた。

五、次女の話

 電気君は今、機嫌が悪かった。なぜかというと次女が電気君についているヒモで遊び始めたからだ。
「ぎゃぎゃー!」
と言って、次女は電気君のヒモをゆらす。ヒモがテーブルにぶつかる。…痛い。そして、次はヒモを高速で上下に引っぱる。当然電気君はついたり消えたりする…疲れる。
 まぁ、こんな感じで今、電気君はとてつもなく不機嫌だ。
 次女は最近歩けるようになって、かみの毛の量も増えてきた。いつもよちよち歩いている。それに、次女はよくフォークだのティッシュだのをかくして遊ぶくせがある。もちろん、電気君は次女が物をどこにかくしたのかがわかるので、家族があちこちさがしているのを見て、「あぁそう!その近くだ!」とか「ちがう!そこじゃない!もっとおく!」とかなんとか、一人熱くなっている。
 ちなみに、家族はもう物をかくす犯人が次女だということを知っているが、いくらおこっても反省しないし、いくら「どこにあるの?」と聞いても答えないので、家族はもうあきらめている。
 そんなある日、山田家にオウムのピー子がやってきた。ピー子は、リビングの鳥かごにいて、みんなのマネをする。赤くてきれいな羽と大きなくちばしがかわいい。
 そして、また次女が家族のいない時に物をかくし始めた。次女は物をテレビの後ろにかくし、行ってしまった。
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 その夜、家族が物をさがしているとき、オウムのピー子が、鳥かごから出てきた。そして、テレビの近くにおりると、こう言った。
「テレビつけていーい?リモコンどこ?え?テレビの下?あったろ~!」
 実は、数日前、次女と母がこんな会話をしていて、それをピー子は覚えていたのだ。
「えっ?テレビの下?」
と長女が聞くと、ピー子が「そうだ」とでもいうように。つばさを広げた。
 そして、物が見つかった。ちなみに次女はその日からリビングには物をかくさなくなって、山田家ではこの日からピー子のことを「わが家のぼうはんカメラ」とよぶようになった。
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六、電気君のおわりの言葉
 
 どうも!電気君です。みなさんはこの物語を読んで山田家のことをくわしく知れましたか?ちなみに、山田家は今日もわぁわぁいってます!変わったことは、特にないです。まぁ、オウムがやってきて、もっと山田家がさわがしくなったけど…。
 以上、電気君のおわりの言葉でした~!

(おわり)
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