「国際成人力」日本1位!

2013-10-10


2013年10月9日(水) 読売新聞1面および13面に、8日に発表されたOECD(経済協力開発機構)が実施した「国際成人力調査」(PIAAC)の結果が載っていました。

みなさんはご覧になりましたか?

http://www.yomiuri.co.jp/net/news0/national/20131008-OYT1T01061.htm
http://www.yomiuri.co.jp/job/biz/columnnational/20131008-OYT8T00689.htm
(※読売オンライン 関連記事URL)

今回の調査は24か国16歳から65歳の男女を対象とした、仕事や日常生活で必要とされる能力の習熟度を読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力の3分野で調べたものだそうです。

・・・で、結果ですが、

なんと、日本は2分野で1位

平均点が1位となった2分野とは、「読解力」と「数的思考力」です。

「ITを活用した問題解決能力」は10位とあまりふるわなったようです。

最近はITは仕事の現場でも生活の場でもますます重要度が高まっていますし、多くの人がITを活用しているように見受けられます。

ただ、記事では、PCの活用は必ずしも進んでおらず、多くの人はスマホやタブレット端末を使用し、なおかつ、メールや動画の閲覧など比較的受け身な使用が多く、積極的な活用をしている人はむしろ少ないとのこと。

この点「たしかに」と思う例は自分の身近なところにもゴロゴロ転がっています。
YouTubeにニコ動にUstなどの動画サイトをもっぱら利用するという人が私の周囲にはたくさんいます。

さて、今回の記事で注目したポイントは、なんといっても「基礎重視の教育 成果」という見出しに代表されるように、今回の調査の結果が「戦後義務教育の成果」と分析されていることです。

なるほど、日本の場合、成績上位者と下位者の差が小さく、さらに職業や学歴による差が小さいとのこと。
これは戦後の義務教育が大衆レベルで拡大された一つの成果だと言えます。

※このあたりについては、苅谷剛彦さんの大衆教育社会のゆくえ―学歴主義と平等神話の戦後史 (中公新書)にわかりやすく書かれています。

しかし、わたしたちには同じくOECDが実施しているPISAの記憶があります。

2003年調査のいわゆる「PISAショック」によって、その後日本の教育界はPISAの影響を多分に受けて大きく変化しようと歩んできています。

「全国学力・学習状況調査」しかり「新学習指導要領」しかり。

OECD-PISAでは日本の義務教育修了段階の生徒は「読解力」に難があるとの評価を受けています。

つまり、今日求められる力について、日本の若者は十分に習熟していないが、日本の大人たちは十分に習熟している、ということになるのでしょうか。

今回の「読解力」の調査問題はまだ見ていませんが、ここで問われた力が本当に今の世の中で求められている力だとすれば、やはり、若者はNGで、大人はOKということになってしまいそうです。

あれ?

そうすると、最近いわゆる「PISA型読解力」に代表されるような「批判的思考力・読解力」の育成について、「新しい」テストや「新しい」教材、「新しい」カリキュラムで臨もうと皆が躍起になっていますが、それってあまり意味がないってことになるの?

いや正確には、意味がないというより、以前のような基礎・基本を重視した「つめこみ型」の学習で十分に「国際成人力」が育成できるということになってしまうのではないか。

いや~そう考えると大変不思議なことですね。

若者向けのテストでは、現代的な力の育成が不十分だから成績がふるわないと分析され、
大人向けのテストでは、基礎・基本を重視した戦後日本の義務教育の成果で世界1位!

何なんでしょう、これは。

ちなみに、読売新聞13面には、「ITを活用した問題解決能力」と「数的思考力」の問題の一部が掲載されていましたが、「数的思考力」については、写真をみて簡単な割り算(またはかけ算)によって解答が導き出せる、立体(空間図形)の展開図に関する問題など、かなりお馴染みな数学(算数)の問題が載っていました。

これ楽勝じゃんって問題。
「成人力」というか、中学生諸君でも出来るでしょってな問題です。

他の調査問題は見ていないので全体としてどういうタイプのテストなのかはわからないので一概には言えませんけどね。

でも、これがPISAの大人版で、どちらも現代的な能力の測定という性格のテストなのだとしたら、何となくPIAACとPISAには大きな隔たりがあるような気がしてしまいます。

そもそもこのテストで「成人力」が測れるのかという問題もあります。

いやそれを言い出したら、「成人力」って何よって話もあります。

それだったら、茫漠とした、抽象的な「能力」というものを的確にピタっと捉えることはできるのか、なんてことも考えねばなりません。

いや~テストって本当におもしろいですね。

皆さんもぜひ結果だけでなく、そのプロセスや運用されている問題自体に目を向けてみて下さい。

結果の数値だけを見るなんてナンセンスです!

とはいえプロセスがすべてだって言うわけではありませんけどね。

さてさて、みなさんはこの調査結果をどのように受け止めましたか?

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